サービス業

たとえば、SI会社の話。



Aさんは、基本設計からPG枠で入った。
(主に、仕様を決定し、システムとして落とし込めるよう検討する段階)

Bさんは、詳細設計からPG枠で入った。
(主に、決定された仕様をプログラミングに落とし込む段階)



でも、Bさんは、Aさんよりも先輩だった。

Bさんは、自分がPG枠であるということを意識して、それなりの仕事をしていた。



Aさんは、自分がPG枠であるということは知っていたが、

自分の今後を考え、背伸びして仕事をしたり提案するようにしていた。

結果、Aさんはチームの方針でPG以上の仕事も与えられていた。



それなりの仕事といえど、現状に不服のあるBさんは、

チームに対しても不満ばかり。

大した提案をするわけでもなく、(そもそもできるかどうか定かではないが)

他のメンバが22時を普通に超える中、定時付近に帰っていく。



Aさんは、枠にとらわれず仕事をしていたため、チーム自体の問題にも

関わることができ、与えられた仕事の範囲をさらに広げていた。



ここで問題になってくるのは、

PGで入るか、SEで入るか、という決めはプロジェクト外で行われているということ。

人員管理しているところに、「PGをSEとして動かしたからSEにしてあげて」といったところで、

通るわけはなく。「PGとして使え」と返されるだけな気がしてならない。



ここが覆るのならば、Aさんの動きでイイんだと思う。


ただ、Bさんの胸中を考えると、いたしかたないのかなぁとも思う。


Aさんに勝つ唯一の手段は、がんばらないこと。

同じ金額をもらうのであれば、アホほど頑張っているAさんは滑稽に見えるかもしれない。

「いかに頑張らずに、自分の与えられたシゴトをこなし、

PGとしてのギリギリの責任を果たすか、      」 これにかかっているのだ。



会社に入るお金、といった面では、Bさんの動きでも特に問題ない。


ただ、個人に入ってくるナレッジという面で考えると、やっぱりAさんだろう。


別に会社のために仕事をしているのなら、それでお金だけ考えていればいいのだけど、

けしてそうではない。


「会社のための仕事」をして裏切られる社会になってきている。

特に、彼らのいる職場は、平然と人を切り、人の評価も低かったり偏っていたりする。

そんな中で、「会社のお金」だけを優先するのは危険ではないか。



もちろんプライドもあるだろうけど、

自分だったら、

Bさんは、「先行設計者のスキル不足」を心配していたので、

自分が取って代われるように仕様理解に努め、グイグイ質問して行く、だとか。

逆にPGに専属として、ツールを検討して、効率を高める提案をする、とか。

やれることはたくさんある。



SIerは自分の単価が異様に高いということを忘れがちだ。

その金額でソロでも働けるような仕事力をキープできるよう、どこかで努力する必要がある。


その努力の場が日常であるとしたら、Bさんは今後も致命的だろう。



欲しいポジションがあったとして、いきなりそのポジションを与えられて、

すぐ順応できるわけではない。

日頃から考慮していないと、肝心なところが抜けてたりする。

高いポジションには、責任だけでなく、「権力」がつく。

つまり、その権力に頼れば、リーダーとしての振る舞いはできるかもしれない。

でも、ボロが出るということだ。



結論を出すとするならば、

現場が会社に払うお金  Aさん =  Bさん
会社が個人に払うお金  Aさん <  Bさん
現場の個人への評価   Aさん >> Bさん
個人の現場への貢献   Aさん >> Bさん


会社にとって不利益なのはBさん
会社にとって都合がいいのはAさん
現場にとって都合がいいのはAさん


Aさんは、会社のルールからは外れているかもしれない。

古き良き日本の就業システムが顕在しているのであればBさんで問題ないが、

今後が、パーソナルブランディングの時代であるとするならばAさんの動きも必要。



サービス業は、個人の拠り所が大きく出る職業です。